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社会福祉法人ゆたか福祉会・ワークセンター フレンズ星崎(愛知県名古屋市)

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社会福祉法人ゆたか福祉会・ワークセンター フレンズ星崎(愛知県名古屋市)

ワークセンター フレンズ星崎の概要

ワークセンター フレンズ星崎(以下、フレンズ星崎)の母体となるゆたか福祉会は、名古屋市内を中心として、数多くの障害者就労支援事業(就労移行支援事業1か所、就労継続A型事業1か所、就労継続支援B型事業7か所、生活介護事業8か所)を展開する社会福祉法人である。居宅支援事業所や生活支援事業所、高齢者デイサービスセンター等を含めると30を超える事業所を運営している。

フレンズ星崎は、その中においては比較的新しい事業所である。発足は、1995年の小規模作業所フレンドハウス南だった。2002年にゆたか福祉会に合流し、2007年の事業体系移行の際に「ワークセンター フレンズ星崎」として、就労継続支援B型事業と生活介護事業を運営する事業所となった。

現在の作業種目はDMの発送代行に特化し、月額平均工賃は50,000円を超えている。下請け作業が中心だった作業所時代から比較すると、3倍以上の工賃アップを果たした事業所として全国からも注目されている。

社会福祉法人ゆたか福祉会・ワークセンター フレンズ星崎(愛知県名古屋市)
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チャレンジャーの視察から、すべては始まった

フレンズ星崎が、現在のDMの発送代行に特化した事業を展開するようになったのは、東京にあるチャレンジャー(武蔵野千川福祉会)に視察に行ってからのことだと、山﨑利浩所長(43歳)は語る。

「当時からDMの発送代行の仕事は行っていたのですが、あくまで下請け作業の一つに過ぎませんでした。B型事業をスタートするにあたり、設備投資をあまりしないで少しでも多くの工賃を稼げる全国の事例を探していたところ、東京のチャレンジャーさんを見学できることになったのです。この施設との出会いは衝撃的でした。私たちの事業所の利用者と同じような障がいのある人たちが、同じDM作業で7万円(当時)以上の工賃を稼いでいたのです。やり方次第で、もっと本格的な事業展開ができるはずだと、力をもらいました」

ちょうどその後で、ヤマト福祉財団「働くちから革新塾」に参加できることになった。塾長は、図らずもチャレンジャーの新堂薫施設長である。ここで効率を高めるための生産工程の見直し、作業環境の整備(5S改革)、作業の標準化、作業動作の見直し等を徹底的にたたき込まれていった。

山﨑所長と共に入塾した稲垣伸治副所長(43歳)によると、一番の成果は「利用者の活かし方を考えることが職員の役割だ」と教えられたことだという。

「どうしてもそれまでは、仕事が立て込んでくると職員が残業して納期に間に合わせるようなところがありました。しかしそれは本末転倒だし、事業所としての作業能力向上にもつながりません。チャレンジャーとの一番の違いは、利用者の活かし方。彼らの可能性を信じ、作業をいかに分担させていくかという支援能力が、大きな工賃格差になっていたのです」

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徹底的に工程を分解し、利用者に仕事を割り振る

フレンズ星崎の現場で、具体的に行っている作業工程を拝見させてもらった。DM作業には、主に四つの工程がある。①丁合(チラシなどをセットする作業) ②封入(セットしたチラシを、封筒に詰める作業) ③封かん(封筒のり付け) ④宛名貼り。健常者ならば、これらの工程は一人ですべて対応してもらうのが基本だろう。しかし障がいのある利用者には、それがとても難しい。であるならば、工程を徹底的に分解し、障がいの程度や種類によって対応できるパートを振り分けていけばいい。障がいの重い人でも軽い人でも、みんなが参加できるようにすることが、非常に重要なのである。

職場は、赤・黄・青の三色でグループ分けされていた。たとえば赤チームでは、利用者と職員を向い合せで配置している。(作業をする上で)自立していない利用者でも、困ったときに相談しやすいようとの配慮からだ。また、作業を終えたときにはすぐ職員に報告できるようになっている。

これに対して、黄チーム。ここでは利用者同士が、対に配置されている。封入→封かん→宛名貼りなど、連続した工程を隣り合う二人が組んで協力して行い作業効率を高めていく。

さらに青チームになると、セットするチラシの準備(50枚単位でチラシを揃えておく)や、検品(セットした封筒の数が合っているかの最終確認)、郵便番号の区分けなど、判断能力を問われる仕事を任せられるようになっている。どのグループの仕事を対応してもらうかは、作業内容や納期によって事前に職員が決めていく。

こうした仕事の割り振り方こそ、チャレンジャーから学んだ宝物と言っていい。現在では、1日に10,000件の郵便物を捌けるほどの能力がついた。旅行会社や各種団体からのチラシやバンフレットの発送が中心であり、郵便局までの持ち込み代行サービスもおこなっている。

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利用者が働きやすい職場作りを徹底させる

フレンズ星崎の作業現場は、利用者たちにわかりやすく仕事をしてもらうための工夫が散りばめられている。たとえば、複数枚のチラシをセットする作業台。台の上には透明のビニールシートが敷かれていて、その下にセットするチラシが見本として展示されている。どんな重度の障がいのある利用者でも、この上に同じチラシをセットすれば、間違わずに作業できるようにするためのアイデアだ。

丁合したチラシを置くのは、職員たちが考案した手づくりの特注木製台である。A4・A3チラシに対応し、しかも終わった後はたたんで片付けられるようにもなっている。テープなどの消耗品がなくなったときには最後に発注カードが用意されていて、それを職員に渡すのがルール。このシステムなら、言葉でのコミュニケーションが難しい利用者でも備品管理に参加できるというわけだ。

現場の中央には、大きなモニターが設置されている。その日の作業の進行状況が、全員に分かるように明示されているのだ。たとえ数字が分からなくても、生産量が半分以下なら赤、60%を超えると黄、80%を超えると緑、100%になると青と、色で判断することもできる。午前中までに黄色なら順調。緑だったら、午後の作業は少しゆっくりできる。もしまだ赤のままだったら、残業になるからもっとピッチを上げないと……と、利用者自ら判断できるのだ。

「利用者たちが働きやすい環境づくりこそが、B型事業所の職員に求められている最大の仕事だと思います。これを追求していけば、彼らは主体的に働くようになり、生産効率も格段に上がります。結果的に、工賃もアップしていくのです」と、山﨑所長。

2011年からの工賃向上計画に基づき、50,000円の目標を達成したフレンズ星崎の次なる目標は、64,000円超えだ。手本となったチャレンジャー(現在の月額平均工賃は10万円以上)を追いかけて、いつまでもフレンズ星崎の挑戦は続いていく。今後のさらなる飛躍を期待したい。

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(文・写真:戸原一男/Kプランニング

社会福祉法人ゆたか福祉会・
ワークセンター フレンズ星崎(愛知県名古屋市)
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※この記事にある事業所名、役職・氏名等の内容は、公開当時(2019年04月01日)のものです。予めご了承ください。